一口馬主の思い出(28)
ペルネティアナは栗東・音無厩舎所属、クロフネ産駒の栗毛の牝馬でした。
1月生まれで400キロに満たない小柄な馬体が倦厭されたのか、厩舎や血統の割に人気せず、一次募集では満口にならなかったと記憶しています。
私が出資した理由は単純で、厩舎が良く、お手頃な価格だったからです。
わりと体高はあったし、クロフネ産駒なのでもう少し成長するだろうと思って、小さいのはあまり気になりませんでした。
むしろ、小柄な牝馬ということで、早く仕上がって早期デビューできればいいなと思っての出資でした。
1歳の冬を越し、少し大きくなったペルネティアナは育成もしごく順調に進み、2歳4月には北海道を出発し、グリーンウッドへ旅立ちます。
初めての長距離輸送で軽いスクミが出て、少し足踏みしたものの、2歳6月には初入厩できて、ここまでは私が出資時にもくろんだ通り進んでいきました。
が、しかし。
ここで思わぬ壁が立ちはだかります。
入厩してからペルネティアナは鼻出血をくり返すようになってしまいました。
原因は、興奮すると鼻をブイブイ鳴らす癖があるからでした。
あまりにも頻繁に鼻を鳴らすため、粘膜が弱くなって炎症を起こし、出血してしまうのです。
ゲート試験は合格したものの、こんな状況ではデビューへ向けての調教ができないので、グリーンウッドへ放牧に出ることに。
鼻以外に問題はなかったので、すぐに再入厩できるかと思いきや、癖というものはそう簡単に矯正できるものではありませんでした。
鼻出血は治まらず、ついには北海道へ逆戻りとなりました。
その後も鼻を鳴らす癖は続きましたが、鼻血を出さないよう細心の注意を払いながら調整が進められ、ようやく3歳2月に再入厩へこぎつけることができました。
鼻を鳴らしまくるという妙な癖のために、なんと9ヶ月もの時間を費やしてしまったペルネティアナ。
3歳4月、ついにデビューの日を迎えます。
早期デビューは幻に終わりましたが、これまでの経緯があるだけに感無量でした。
ダート1400mでの初陣は、出遅れて後方から脚を延ばしての6着。
既走馬相手のデビュー戦としてはまずまずのレースで、これなら勝ち上がれるかも・・・、と思えました。
しかし2戦目は11着。
3戦目も8着に大敗。
DDSPの症状が出ていたのでした。
鼻の次はノドが鳴る――。
ペルネティアナは手術を受けることになりました。
しかも、1度目の手術の後に再発し、再手術するはめに。
すでに3歳6月、未勝利のペルネティアナにとって、残された時間はあまり多くありません。
もしかしたら未勝利戦終了までに間に合わないのでは、と思いました。
しかしペルネは鼻やらノドやらに問題はあっても、体質自体は強かったようで、再手術からなんと2週間で追い切りを行うまでに回復。
3歳8月には復帰戦も決まりました。
しかし、手術後初のレースとなる4戦目、小倉へ長距離輸送中のペルネティアナにさらなる事件が起こります。
なんと、トレセンで馬インフルエンザが発生したため、競馬開催自体が中止になってしまったのです。
長くなったので、続きはまた今度書きます。